TKKグループ代表挨拶
ティーケイケイホールデイングス株式会社は、TKKグループの持ち株会社として2020年3月に設立されました。その目的は、時代の急激な大転換のさなかに世代交代の時を迎えるにあたり、グループ全体の再編とCIに着手し、創業112年の節目である2022年4月にTKKグループとして再出発するためでした。そして今、滞りなく新しいフェーズが始まっております。
明治42年10月に創業者、田尻儀八は欧州航路から陸に上がり田尻組を創業しました。宮大工の家に生まれましたが、船と海に縁どられた生涯を送りました。2代目友作も大東亜戦争からの復員直後に大岡川の沈没船を蘇らせてその後の事業のきっかけを作り、艀船、バージ船、内航タンカー船など海運事業では常に幸運に恵まれておりました。
海と船との深い縁の中での先代たちの足跡は、有明海の南朝貿易を守る武士団として肥後の金峰山で活躍した先祖の血を感じさせます。しかし、私の代は、時代の要請により海運に係るすべての事業の幕引きを行うことから仕事が始まりました。会社に残された給水排水設備の業も、売り上げの半分を占める浄化槽メンテナンス関連の仕事は毎月前年比25%以上の減少という構造不況の真っ只中のことでした。
こうして、海ではなく「都市の水」が事業領域の中心となりましたが、当時水環境の悪化はすでに極限に達しており、破壊された水環境は「保全」でなく「修復」が必要な時代となっていました。同じ頃、自然の水循環を範にした日本古来からの水改質の技法との出会いがあり、これを工業技術に仕立てることを企てました。そして水改質の測定装置を完成させ、水改質装置のメーカーとなったのです。
折しも給水設備の老朽化というインフラのサイクルも社会問題化し始めた時期でしたので、既存の給排水設備業のソリューションとして、この水改質技術を「インフラ老朽化対策の新工法」という位置づけで市場展開しました。お陰様でこの「酸化被膜工法」(「マグネタイト工法」)は当該分野で成果を上げ今日に至っていますが、この流れも「水」と縁の深い先祖のからの企業DNAの賜物と思っております。
今、時代はこれまで体験したことのないフェーズへと入っています。これは古くから宇宙的サイクルの時間論として語られてはいましたが、今では世界的に広く認識されるようになった時代観です。そして、この大転換の中で人類が進化するために最も必要なものは「水」であり、それも水本来の活力を有する「良質の水」であるといわれています。そう考えると、TKKグループの事業の大きな柱である「水の改質」技術は、インフラ老朽化対策という社会的な役割にとどまらない、壮大な時の流れの中で進化を加速させる水を提供する役割も担っていることになります。
12年前に創業100年記念として発売したミニ水改質器具「エランビタール」は、名前(「生命の跳躍」というフランス語。仏哲学者H・ベルグソンの用語)と製品に、そのコンセプトが込められていました。大規模にしかも瞬時にこうした水を供給できる弊社のBW水改質装置は、「エランビタール」を含め、ますます時代に要請された技術として重要な役割が期待されています。
この水改質技術をベースに、現在T.K.K.エンジニアリングで展開し始めているMTC工法(排水槽内無人化清掃工法)、T.K.K.エボリューションで展開中のNCSC工法(薬品を使わないスケールコントロール)なども、時代の要請でますます広がりつつある技術・サービスです。
このようにTKKグループは「水」というキーワードで繋がった企業グループとして、現在「都市の水をさらに快適に、さらに安全に」という視点から都市の水環境修復事業を展開しております。今、私たちは、グレードアップして再出発するという喜びとともに、大きな時の変わり目に人類の進化に必要な技術とサービスを提供する企業グループとして、皆様のお役に立てる誇らしさと使命感に胸の高鳴りを覚えずにはいられません。
これからも何卒ご支援賜りますようよろしくお願いいたします。
代表取締役 田尻惠保